THE BLUE HEARTS 1stアルバム『THE BLUE HEARTS』感想・レビュー
こんにちは、ブラックな飲食バイトをやめたくてもやめる勇気がなくやめられない、もやし大学生です。
今回は説明不要の伝説バンド、THE BLUE HEARTSのデビューアルバム、『THE BLUE HEARTS』の曲の感想・レビューをやっていこうと思います。
僕はこのアルバムと約1年前、大学2回生の始まりごろに出逢い、それ以降THE BLUE HEARTSを聴き漁ることになったのですが、このアルバムの強すぎるインパクトは、僕の人生をめちゃくちゃにしてくれました。もちろんいい意味で。
全12曲で合計34分というパンク・アルバムらしいまとまりの中に、甲本ヒロトと真島昌利の新鮮で鋭い、それで優しい言葉と、シンプルでアグレッシブなサウンドが高濃度で詰め込まれています。2ndアルバム・3rdアルバムと比べると、剥き出しで粗削りな印象がありますが、それがこのアルバムの最高にイカした部分でもあり、21歳のクソ学生の脳ミソを直接揺さぶってきます。
#1. 未来は僕等の手の中
#2. 終わらない歌
#3. NO NO NO
#4. パンク・ロック
#5. 街
#6. 少年の詩
#7. 爆弾が落っこちる時
#8. 世界のまん中
#9. 裸の王様
#10. ダンス・ナンバー
#11. 君のため
#12. リンダ・リンダ
#1. 未来は僕等の手の中
記念すべきファーストナンバー、初っ端のどでかいドラム「ズッダンズズダン…」で鳥肌が立つ。ヒロトのドスのきいたシャウトから、ブルハの世界になだれ込んで行く。「僕等は負けるために生まれてきたわけじゃないよ」という力強い宣言に脳を揺さぶられる。リフのコード進行は今聴いても全く色褪せない新鮮さ。こんなリフ思いついたら気持ちいいだろうなあ。
#2. 終わらない歌
1曲目の勢いそのままに、どでかいドラムから曲が始まる。内容は歌詞のままだが、力強くドスのきいた歌い方の中に、自分を含め全てのクズども・社会的弱者に、「明日には笑えるように」と歌う、ヒロトの確かな優しさを感じられるパンクの金字塔的名曲。
#3. NO NO NO
「戦闘機が買えるくらいのはした金ならいらない」と、純粋な戦争批判をメロディアスに力強く歌う。社会に純粋にNOとぶつけることができるアーティストが今の時代一体何人いるだろう…
「どこかの爆弾より目の前のあなたの方が震えるほど大事件さ僕にとっては」この歌詞にも着目したい。戦争はいけないとわかっているしそう訴えたいのに、それが実際には見えていないのは自分や社会の無力さでもあり、love&peaceの脆さでもある。
#4. パンク・ロック
「僕パンク・ロックが好きだ」というストレート過ぎる歌詞が、ストレート過ぎるコードで力強く歌われる。周りの大学生でパンクロックが好きな奴を見たことがなく、彼女はback numberが好き、そんな僕にとって、この宣言には涙が出る。「中途半端な気持ちじゃなくて優しいから好きなんだ」。最も「優しい」パンク・ロックを歌うのは、間違いなくTHE BLUE HEARTSであろう。
#5. 街
コンクリート・アスファルト・毒ガス、そして「見せかけ・口先」…世間に溢れる「嫌なもの」を嫌なものと感じる仲間がきっといる、というメッセージをくれる歌。この曲に「街」というタイトルがついてるのは一体なぜなのか…個人的には街は「社会」とは違ってあったかい日常をくれる印象なんだけど…
#6. 少年の詩
ドラマティックな展開を見せる名曲。社会に不満を持つ少年が主人公で、「誰のことも恨んじゃいない」けど、あげる声も風に消されて、ナイフを手にする、という筋である。「ナイフを持って立ってた」という表現は、心の中に持ったナイフかもしれないし、実際に手にしたナイフかもしれないし、誰かを傷つけたナイフかも知れない。ここでそれは明らかにされていないが、少年がナイフを手にするというイメージは悲哀と残酷性と、どこか美しさを孕んでいるように思える。
#7. 爆弾が落っこちる時
「NO NO NO」と同様に、明らかな戦争批判が力強く歌われる曲。「爆弾が落っこちる時、全ての未来が死ぬ時…」と、爆弾という兵器の無差別性に対するやり切れなさが痛切に伝わってくる。「左も右も関係ないだろ」。今の「極左」「ネトウヨ」などと罵り合う社会に聞かせてやりたい…
#8. 世界のまん中
「世界のまん中で生きていくためには、生きるということに命をかけてみたい 歴史が始まる前人はケダモノだった」世界の片隅と位置づけるような世間・社会や自分自身との決別、命を燃やす生き方の決意を歌った歌。生きるということに命をかけるというのは一見当然のように見えて、現代社会でこれができずに悩む人のどれだけ多いことか!生きるために生きることがどれだけ今難しく、そして尊いことか!
#9. 裸の王様
童話「裸の王様」に登場する少年をモデルに、社会に対して「言えなくなるより怒られていたい」とNOを突きつける宣言を歌った歌。ヒロトとマーシーのハモリが綺麗でかっこいい。
#10. ダンス・ナンバー
ハイテンポに1分半程度で駆け抜ける名曲。「君のことを笑う奴はトーフにぶつかって死んじまえ」という歌詞がとても印象的。ブルハはパンクロックバンドと言っても、基本的に死んじまえなどといった言葉は使わないが、トーフにぶつかって、とは…ヒロトのユーモアセンスが光っている。君のことを笑うような奴は、トーフに頭をぶつけてそれを痛いと感じちまうような、おかしな奴なんだ、というメッセージだろう。浪人期バカになるまで聴いてました。
#11. 君のため
このアルバム中唯一のバラード。「少年の詩」で「僕やっぱり勇気が足りない I love you が言えない」と言っていた通り、このアルバムにはラブソングが少ないが、この曲はその例外に当たる。相手を優しく包み込むような純粋な想いに涙が出る。あの子と初めて越える夜は、やっぱりこの曲を歌ってあげたいなあ。「ごめんなさい、神様よりも好きです」というセリフは、悲劇的でありながら感動的。
#12. リンダ・リンダ
このアルバムを締めくくる、珠玉の名曲。リンダ・リンダとは造語で、ダーリンを反対に読んだ言葉だろうか。「ドブネズミみたいに美しくなりたい写真には映らない美しさがあるから」有名なフレーズであるが、これほどにこのアルバム全体を鮮やかに彩る歌詞があるだろうか。ドブネズミを誰よりも優しい、何よりも暖かいと表現できるのはブルハだけだし、そこに嘘は微塵も感じられない。「君のため」でみせた己無力さにも、「愛じゃなくても恋じゃなくても決して負けない強い力を1つだけ持つ」という堂々たる宣言を下す。涙なしには聞けません、ホントに。
〜〜〜〜〜〜〜
以上になります。どうだったかな、愛を伝えられたかな。僕がパンクロックにはまって、セックス・ピストルズや銀杏BOYZなどに出会えたのは間違いなくこのアルバムのおかげです。そして、このアルバムに込められたパンク精神と人間としての優しさは、永遠に僕の胸に刻み込まれたままでしょう。THE BLUE HEARTS、最高の青春を、どうもありがとう。
完